Custom Yacht Project
ー カスタムヨットプロジェクトー




概要


始まりはデイセーラー、2019年の夏、オランダのイーグルヨットからスタートします。
デイセーラーのシングルにおける操作性と高いセーリング性能、キャビンは一般のク
ルージング艇程は必要とはしないという事でした。


そこで白羽の矢がたったのが、イーグル44又はイーグル54、実際にイーグル44に
ご案内し、試乗して頂きました。セーリング性能、バランスの良さ、そしてデザインに
対しても気に入って頂いたと思います。


その後、様々な検討をした結果、キャビンとしては広い必要は無いが、イーグル44
はワンルームで、泊まりの時のプライバシーを考えると、もう少し欲しいし、できれば
個室トイレもあった方が良い。一方、イーグル54のキャビンは充分だが、やはり54
というサイズが大き過ぎるかもしれない。


そこで、イーグル54のデザイナーであるフックデザインのクラシックなイメージはオー
ナーのコンセプトに合致していたので、フックデザインによる既に進水しているヨットを
調べ、その中にPC55とPC66がある事を知ります。実はオーナーが見つけられたん
です。だから話は早い。


同サイズのクルージング艇よりスリムで、フリーボードも低かった。それより姿が美し
かった。PCはパフォーマンスクラシックの略、そのコンセプトも賛同できました。


そのPC55とPC66を進水させたのが英国の、まさしくPC Yachts、そこで、50フィー
ト以下で新しくデザインを依頼し、協議の結果、PC47として同じコンセプトでの新しい
デザインをしてもらう事となる。


最初に出てきたデザインが、下の図面です。元々、PC55を基にデザインを依頼しした
のですから、基本的にはOK, でも、ここから始まります。



Performance Classic 47


内装レイアウトは、別の提案もありましたし、アフトキャビンを2つという提案もありまし
たが、そんなにキャビンを取る必要は無いという考え方で、キャビンはバウとアフトに
各一部屋づつ、ギャレーは大半の時間をコクピットで過ごすので、コクピット近い方が良
いとの事で、最終的には上記レイアウトという事になりました。また、トイレもコクピット
側なので濡れた合羽を脱いだ時に、そこに一時的に置けます。 それより、コクピット
を広く取ります。ここが最も重要なスペースです。大半をここで過ごすのですから。


デザインはフックデザイン独特で、バウは垂直に下り、バウスプリットを備えます。また、
スターンはクラシックを強調した様な、長いオーバーハング、さらにコーチルーフ周辺に
はぐるりと灯り取りがありますし、この位置は少し天井が高い。元々、デッキをあまり高く
はしたくなかったものの、コーチルーフ下だけは少し余裕を持たせたデザインです。それ
に、キャビンが、この灯り取りのお陰で明るくなります。


コンセプトとしては、デイセーラーの操作性と帆走性能を維持しつつ、もう少しキャビンを
確保しています。全長の割にスリムにし、デッキは低く、今日のクルージング艇とは逆を
行くデイセーラーと、クルージング艇の中間的なボリュームになっています。こういうヨット
は他には、意外に無いんですね。


エンジンはセールドライブ、今更シャフト式は無い。また、マストはオンデッキとし、これで
海水や雨水の侵入の心配は無い。キールは帆走性能やフィーリングを考えてもバルブフ
ィンキール。上記には記載されていませんが、最終的に建造し重心位置等をチェックし決
める事になります。芸が細かい。


さて、基本図面が決まったところですが、ここからさらに様々な部位が検討されていく事
になります。基本はこのサイズをシングルハンドにする事です。カスタムですから、いろ
いろな艤装を取り入れる事も、変更する事もできます。オーナー自らが建造に参加して
いく、ここにプロダクション艇では味わえない、カスタムならではの面白さがあります。


楽しみは既にこの時点でスタートしています。

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